“なぎちゃんらしさ”がいっぱいのふんわり衣装
まずは、松永による衣装紹介!1着目は、「ベストヒット歌謡祭2021」のために秋元康氏が書き下ろした『夢中人』の衣装。渋谷凪咲の選抜・初センター曲とあって、彼女らしさがあちこちに詰まっている。
「“歌番組での歌唱のために書き下ろし”というのが初めてのことだったので驚きましたが、なぎちゃん(渋谷凪咲)の初センター曲ということで、ついに!満を持して!と言いますか…。この日を待ち望んでいたので、とにかく衣装もなぎちゃんワールド全開で表現できたら、と。楽曲イメージを教えていただき次第、すぐに製作に取り掛かりました。2019年の『ベストヒット歌謡祭』に出演させていただいた際(2020年は新型コロナウイルスの影響で中止)、最後になぎちゃんがスタッフの皆さんに『来年も呼んでくださいね』となぎちゃんスマイルで礼儀正しくご挨拶していたのがとても印象的で。それがこのような形で叶ってすごくうれしかったです。なぎちゃんには、以前から学ばせてもらうことが本当にたくさんあって、『さすがだな…』といつも感心の連続ですね。
衣装の素材はすべてなぎちゃんならではの、柔らかくてふんわりするものを選びました。色めも徹底的にこだわり、ホワイト系をベースにペールよりのパステルカラーのピンクと水色を合わせて、なぎちゃんらしくふんわり明るく軽やかに。そして彼女らしい、清楚で大人っぽい透け感や透明感が引き立つような上品な色めを目指しました。衣装にピンク色とお花のパーツが施されているのはなぎちゃんだけ。そしてパンプスも、センター1人だけピンクにしています。ほかのメンバーのパンプスはホワイトで統一し、衣装はかわいい系パフときれいめ系フリルの2パターンのお袖のものを用意。また、イヤリングとヘッドアクセサリーもすべて製作しました。みんなが着けているリングは、最初はなぎちゃんだけの予定でしたが、最後の『夢中人〜』の振りで頭の上で人差し指のポーズをするんだとフィッティングの時にメンバーが踊ってくれて、それなら全員人差し指にリングがあったほうがかわいいよね!となり、急遽全員分製作しました」
山本彩の卒コンを彩ったスポーティーな全体衣装
続いて、白地に青がアクセントになった全体衣装。こちらは「白×青ライン衣装」と呼ばれているそうで、2018年に万博記念公園で開催された山本彩の卒業コンサート『SAYAKA SONIC 〜さやか、ささやか、さよなら、さやか〜』のために作られた。
「さやかちゃん(山本彩)の卒コンのオープニング衣装として作らせていただいたものです。とにかくさやかちゃんらしく爽やかで、さやかちゃんがメンバー全員のために最後に残してくれたとても大切な衣装です。このタイミングで作らせていただけたのもさやかちゃんのおかげです。デザインは一見スポーティーですが、透け感もあって女性らしさもあります。全体に使われている目が粗めのメッシュや、分厚めでハリのあるメッシュ生地がポイントです。トップス7型、ボトムス7型を作ったので、これまでの全体衣装で1番デザインの型数が多い衣装ですね」
長いスカートやお花で徹底的に“なぎちゃん”を表現
ここからは、かれんたん、ゆずちゃん、松永による対談タイム。この連載にも慣れてきたかれんたんに対して、新鮮な反応を見せるゆずちゃんに注目!まずは『夢中人』の衣装を深掘り。
原「このお衣装も、メンバーからの人気が高いですよね」
松永「『ベストヒット歌謡祭2021』に出演する時に、まさか曲を秋元先生が書いてくださるなんて思っていなくて。何を歌唱するんだろう?って思っていたら、なんと書き下ろすと聞いて。驚いたと同時にとても感動しだけど、次の瞬間から慌てて製作を始めました(笑)」
原「また短いスパンで作られたんですね!」
松永「10日ぐらいかな?」
本郷「10日で全員分!?」
松永「新鮮な反応ですね!」
本郷「なぎささん(渋谷)とほかのメンバーのお衣装で、こだわりはそれぞれどんなところですか?」
松永「なぎちゃんって、ロングスカートでふわ〜んとしたイメージ。でも、NMBはいつも短いスカートのイメージが強いから、今回はなぎちゃんの衣装だけ、上から重ねたチュールスカートも含めて全てのスカート丈を長めにして、ターンするとふわぁ〜っと広がるようなデザインにしました。ほかのメンバーはベースのスカート丈を短くして、上から重ねたチュールスカートの丈を長めに。シースルーで透け感を出して、脚がきれいに見えるようにしました」
原「ピンク色の靴もなぎささんだけですね!」
松永「そうですね」
原「足元を見ていてもなぎささんがどこにいるかわかるから、動線の邪魔にならないように動けるんです。それから、『夢中人』のお衣装って指輪があるじゃないですか。お衣装に指輪があるのが珍しくて、それがダンス中のポーズに合っているから、振り付けを見て後から用意してくださったんですか?」
松永「そのとおりです!」
本郷「すごーい!」
松永「フィッティングの時はなかったんですよね。でも、人差し指を立てる振りがあるって知って、急遽製作しました。本番2日前だったから探す時間がなくて、作らないと間に合わない!ってなって(笑)」
本郷「すっご~!センターの方の衣装が豪華っていうのはいつもなんですけど、私たちもイヤリングにファーが付いていたりとか、どれもかわいかったです。そういうのが大好きだからうれしいです!」
原「イヤリングもメンバーによって長さが違っていて。衣装を水色にしたのはどうしてですか?」
松永「水色は、なぎちゃんの希望でしたね。『ピンクと水色が好き』って前に聞いたことがあって、お部屋の壁もそうだったから本当に大好きな色なんだろうなって(笑)」
原「なぎささんって黄色のイメージが強かったから意外です!」
本郷「たしかに。あと、お花のイメージがありますよね」
原「ベースの生地が真っ白じゃなくてクリーム色っぽくて、それもなぎささんが選んだのかな?って思ってたんですけど、白じゃなくて水色の方を希望していたんですね。知らなかったです、発見です!」
松永「なぎちゃんはいつもチーム全体のこと考えて、バランスを見て何色でも着てくれるから、センター楽曲くらいは好きな色で作らせてもらいたくて。ペールよりのパステルピンクと水色ですね。なぎちゃんのふんわり優しい雰囲気を目指して作らせていただきました」
本郷「お上品な、かわいい色ですよね」
松永「いろんなレースを使って、全てなぎちゃん要素を取り入れて仕上げました。なぎちゃんだけお花レースのモチーフを装飾しています」
原「本当になぎささんっぽい。満開!って感じ。生地のお花柄も素敵です!」
松永「ベースに使用してる柔らかい花柄生地はなかなかイメージに合うのがなくて。いろいろ探しました!」
原「このお衣装、本当はもっと着たいんです!」
本郷「いろんな場所で着たいけど、なかなか…」
原「あれで握手会とかしたいですね」
本郷「したい!写メ会とかね」
松永「たぶん、2回ぐらいしか着てないよね?」
原「そうなんですよ。着た時にもっと写真撮っておけばよかったです…」
――2人がこの衣装で好きなポイントはどこですか?
原「なぎささん以外のメンバーは、スカートがシースルーなところです。お上品さがありつつ、アイドル感やお姫様感もあって。“お上品で清楚なお姫様”っていう雰囲気があるところが大好きです。心もお上品になります」
松永「着る衣装によってその衣装の雰囲気に合った自分に変わるってとても大事なことだし、私もすごくうれしいですね(笑)」
原「座る時とかもおしとやかになって、丁寧に座っています(笑)」
本郷「わたしは、首元のリボンが好きです。私服でもこういうのをよく選んでいます。制服ならあるけど、歌唱衣装でこういうリボンが付いているのってすごく新鮮です」
松永「『夢中人』の衣装はステージ衣装っていうより、なぎちゃんからにじみ出てくるような“となりのきれいなお姉さん”みたいな(笑)、親近感のあるお洋服に近い感覚をイメージしましたね!」
本郷「曲に合ってるな〜って思います!」
ちなみに、この記事の撮影は2023年5月3日に開催された「NMB48 リクエストアワー セットリストベスト50 2023」の数週間前。コンサート当日、『夢中人』は7位に輝き、この衣装でパフォーマンスされた。MCではなぎちゃん自身の口から「私の部屋の壁の色が水色とピンクで、それを衣装に落とし込んでもらいました」とコメントも。
白×青ラインの全体衣装は劇場映えもバッチリ!
続いて、話題は白×青ラインの全体衣装へ。
原「なんで白と青にしようって話になったんですか?」
松永「さやかちゃんの卒業ライブのオープニング衣装ということで、さやかちゃんにとって大切な門出であり、メンバー全員でその門出を祝う尊い思いを込めて“潔い白”にしました。見送るメンバーも新たなNMBとしての出発でもあったので、この衣装は『いつの時代も神聖な衣装として受け継がれていってほしい』という願いを込めて。そしてアクセントとして入れたブルーは、さやかちゃんの自己紹介にもあった『さわやかさやか』にちなんで、爽やかで凛としたさやかちゃんのイメージにぴったりなロイヤルブルーを選びました」
原「白いお衣装って、NMBでは珍しいですよね。きゅんmartの『きっと見つかる、KOIしてLOVEしてきゅんmart』公演で着させてもらったんですが、NMB48劇場では後ろの照明が消えている時、バックが黒なので、白を着ていたらパッとわかりやすい。それが理由でもあり、公演でこのお衣装を選ばせてもらいました。先輩方が、『黒いステージでは絶対白が映えるからこれがいいと思う』っておっしゃってて、『たしかに!』ってなった思い出があります」
本郷「この衣装はいろんな形がありますけど、“このメンバーはこういう形がいい”っていうイメージはあるんですか?」
松永「最初はメンバーのイメージに合わせてトップス、ボトムス各7型あったんだけど、キャラや成長によって体型が変わってきてるから、今は着ている組み合わせも変わりましたね(笑)」
原「体型は、おゆずさんが1番…ねっ(笑)」
本郷「変わりましたね(笑)」
原「さやかさんの卒業コンサートの衣装ということで、さやかさんから『ここにこだわりたい』ってご意見はありましたか?」
松永「話した時に、『白がいい』と言ってましたね!」
本郷「ベルトがレインボーに光るのも、ステージ映えするなって思います」
松永「そうなんです!このベルトは、オープンニングの楽曲が『初めての星』だったので、キラキラしたオーロラ生地を選びました。またこれが差し色で入ってくることによって、しっかりステージ感も出るかなと」
本郷「かわいいだけじゃなくてかっこよさもあって、たしかにさやかさん要素がありますね」
原「ほんまにそう!」
松永「いろんなところに使っているメッシュ素材など、さやかちゃんらしさを全体のベースにして、NMBらしくスポーティーな中にも透け素材だったり、女性らしいデザインも取り入れました」
原「(『妄想ガールフレンド』の)ロックニャンみたいな感じもします。さやかさんと交流がなかった9期生のメンバーも、このお衣装を着る時にそういう思いを感じてくれたらいいなって思いました」
松永「この衣装、願いどおりにちゃんと受け継がれている神聖な衣装だなって思います。みんなもきれいに着てくれて、着用頻度も高くてもう5年近く経つ真っ白な衣装なのに、不思議なくらいほとんど黄ばみも見られないのがすごいです!」
本郷「かわいくて大好きな衣装です」
さらに、衣装に関して3人にインタビュー。
――ゆずちゃんは卒業を発表されましたが、これまでの衣装で思い出深いものはどれですか?
本郷「『NMB48 リクエストアワー セットリストベスト100 2015』で『絶滅黒髪少女』がランクインした時に、ドラフト1期生とドラフト2期生とか若手たちで披露させていただいたんですけど、その時に着た衣装がさやかさんの衣装だったんです。私は山本彩さんに憧れて加入したので、それが忘れられなくて今でも鮮明に覚えています。すごくうれしかったなって。衣装スタッフさんにも『これさやかちゃんの衣装やで』って言っていただきました」
原「衣装スタッフさんは憧れの先輩方のお衣装を当て込んでくださることが多くて、れいこさんもよく、三田麻央さんのお衣装を着てすごく喜んではって、衣装さんの愛をすごく感じます。フィッティングの時は、自分もうれしいんですけど、いろんなところから聞こえる声も楽しくって」
松永「憧れの先輩が着ていた衣装だと、より大事に着よう!って思うよね(笑)」
原「うれしい反面、震えますね(笑)。あの人がこれ着てたんや!って」
本郷「触っていいの!?っていう(笑)」
――ゆずちゃんが卒業までに着てみたい衣装はありますか?
本郷「『ここにだって天使はいる』公演の、『夢のdead body』でさやかさんが着ていた赤いドレスみたいなワンピースと革ジャンです。加入して初めて出たのが『ここ天』公演で、ずっとさやかさんがその衣装を着てギターを弾いている姿を見ていたので、やっぱり憧れです。かっこいいなーって」
原「ステージで1人しか着れないお衣装ですもんね」
本郷「そう、1着しかないから。やっぱり、それを着てエレキギターを弾きたいなーって思います」
――松永から見て、ゆずちゃんはどういうイメージですか?
松永「グラビアでの活躍も含め、いろんな成長を見させてもらっているので、その印象が強いですね。『夢中人』の時に久しぶりに私がフィッティングしたんですけど、成長にびっくりしました!(笑)」
本郷「加入から8年経ちましたしね。加入したのは12歳で、中1になりたてだったので…」
松永「当時からかわいかったけど、きちんと話せるし、しっかりしていてすばらしいなと思っていました。どんな大人になるんだろう?って思っていたら、今では大活躍で。本当によかったなって、母親みたいに感じています(笑)」
――2冊目の写真集発売、おめでとうございます。どんな作品ですか?
本郷「卒業写真集なんですけど、前作は19歳で未成年だったのでできる範囲が限られていたんですが、今回はハタチになったので、いろいろとできる幅が増えたと思います」
松永「そうか、まだハタチでしたね!?」
本郷「そうなんですよ(笑)。1冊目とまた全然違った感じになっていると思います」
原「幅は広がって生地は少なくなったということですね!?(笑)。楽しみですね!」
――かれんたんから見て、ゆずちゃんが着ていた衣装で印象的なものはありますか
原「『恋は突然やってくる』公演のオープニングでトランプのお衣装を着た時の、ベレー帽姿が印象に残っています。おゆずさんのベレー帽、昔からかぶってはったみたいな安心感があって。今でもすぐ思い出せますね。卒業されてからベレー帽を見ても思い出しそうやから、寂しくなっちゃうポイントでもあるし、それくらい印象に残っています」
――卒業に向けての心境を教えてください。
本郷「8年を通して、かわいらしい衣装やかっこいい衣装、いろんな衣装を着させていただいて、NMBっていうお仕事をしていないとできないこともたくさん経験させていただきました。ほかの48グループさんからも『NMBの衣装、すごくかわいい』っていっぱい言っていただけていたので、そういうグループに入れてよかったって改めて思います」
松永「寂しいね…」
原「ほんまに。コメントもさすがすぎて…」
本郷「ありがとうございます(笑)」
衣装に関するエピソードはもちろん、ゆずちゃんの進化についても話が弾んだ3人。次回も引き続き、かれんたんが案内人を担当する。MVの世界観にぴったりハマッた、あの衣装が登場。お楽しみに!