たこ焼き、大阪城、通天閣…“大阪”を全身で表現!
360度どこを見ても“ザ・大阪”、そして“ザ・NMB48”な全体衣装「大阪レインボー」。松永さんにとって、思い出深い衣装の1つだそう。
「この衣装を作ったのは、2012年にさいたまスーパーアリーナでAKB48さんのライブが開催されたとき。AKBさんやそれまでのNMBの衣装はオサレカンパニーさんが担当してくださっていましたが、初めて私がNMBの全体衣装を作らせてもらえることになったんです。AKBさん、SKEさん、HKTさんの衣装担当の方々と衣装部会議をして、NMBは雑誌の『Zipper』や『KERA』みたいな、NMBはどこか奇抜で遊び心のある、親近感を持てるような衣装で考えていることをお伝えし、デザイン画を見ていただいたところOKをいただき、そのあと生まれたのが『大阪レインボー』です」
実はこのエピソード、連載第2回でも登場している。ぜひ本記事と併せてチェックを!
東京出身だからこそ伝えられる大阪の魅力
NMBらしさがたっぷり詰まった衣装を前に、うれしそうなれいこちゃんとあやぴょん。ここからは、松永さんへの質問タイムに入ることに。
前田「この生地はイチから作っているんですか?」
松永「そう、この柄の生地はすべてオリジナルプリントです。私は東京出身で当時あまり大阪のことをわかっていなかったから、すっごい調べました(笑)。通天閣や大阪城、グリコの看板は知っていたので、『絶対にこれは入れたい』と思って、あとはたこ焼きと…って、名物を入れていきました」
前田「逆に大阪を知らないほうが、モチーフを選びやすいかもしれないですね!」
松永「そうなの!大阪の人からしたら『ダサくない?』ってなっちゃうかもしれないけど、とにかくザ・大阪!っていう感覚で作らせてもらいました」
衣装の通称にもなっている、レインボーの色味も印象的だ。
松永「思いっきりカラフルにしたくてこの色味になりました。実はこのチュールはレインボーカラーのプリントじゃなくて、1色ずつ色が違うチュールを7種類使っています。7色の配列もめちゃめちゃ細かくこだわったので、プリント以外にもすごく手がかかっているんですよ」
桜田「えーっ!そうだったんですね!自然なグラデーションになっているのがすごいです!」
松永「ヒョウ柄の生地も、色の出方とチュールとのバランスを何回も何回も調整しました」
前田「スカートが2段になっていることでよりアイドルらしさが出ていて、この衣装、めっちゃ好きです。昔の衣装って結構露出度が高くて、これもそうですけど、スタイルがよく見えるからうれしい。全体衣装でネクタイがあるのも珍しいですよね!」
松永「ネクタイのたこ焼き、メンバーが初めてこの衣装を見たときに、まるで食べているかのようなポーズで写真を撮ってくれたりしたんですよ。想像以上におもしろい反応してくれたのが、めちゃくちゃうれしかったです」
前田「ピンクのネクタイが真ん中にあることによって、衣装全体が引き締まりますね」
松永「この色も結構悩んだんですよ~。ちょっと蛍光色っぽくて若干ヒョウ柄が入っている生地なんだけど、光り方とかバランスも何回もサンプルを出しました。たこ焼きの柄もリアルだよね」
桜田「全部のプリントがリアルでかわいいです!」
前田「これだけリアルなプリントで、しっかりかわいいのがすごいです!キラキラがいっぱい付いているからステージ映えするし、キラキラ感が大阪、NMBやなって感じもする。それが靴にも表れていますね」
松永「ゴールドにこだわりたかったんだよね。胸元、ウエスト、靴の3段階でゴールドを使っています」
前田「それがほかのグループに負けないぐらいの派手さがあって、めちゃめちゃ好きです!」
松永「ラメも入ってるしね!」
前田「どこから光が当たってもかわいい」
桜田「スカートに大きいストーンも付いていて」
前田「ね、それがめっちゃいいよね。髪飾りもおっきくてキラキラで、『うわ〜大阪やな~』って」
松永「主張してるよね(笑)」
前田「シュシュも今の衣装には少ないけど、当時の流行りが入っててエモい気持ちになるし、“大阪の女子高生”って感じがします。手首に着けることによって、踊りも映えるしいいですね」
松永「でも、左右間違って着けちゃうと目立っちゃう(笑)。メンバーには気を付けて着けてもらっています」
前田「あやぴょんはこの衣装、どうですか?」
桜田「加入して3カ月ぐらいですかね。ココナさん(梅山恋和)の卒業コンサートで、8期生で『届かなそうで届くもの』を披露させていただいたときに着ました。この衣装、スタイルアップがすごすぎて!」
松永「それ以上スタイルアップした!?(笑)」
桜田「いえいえそんな…。ウエスト部分が大きくあいているし、ハイウエストのスカートなので脚も長く見えますし。やっぱり、スタイルがきれいに見えるように意識して、こういう形にしてるんですか?」
松永「もちろんです!これは1期生メインに作らせてもらった衣装で、当時は全体的に小柄なメンバーが多かったので、衣装を着ていると大きく、脚が長く見えるようにっていうのは常に最優先でデザインを考えていました」
前田「最近は研究生が着ることが多いですよね。5期生さんとドラ2さんの『届かなそうで届くもの』公演のオープニングもこの衣装でした。私も研究生のときに出演した貝塚のライブで、オープニングの衣装がこれでしたね。元気感が1番出る衣装なのかなって思います」
松永「そう、いろんな思いが詰まった、NMB48として入門編のような1着ですね」
前田「ザ・NMBを味わえるので、初めて着れたときはすごくうれしかったし、『難波愛』公演での『なんでやねん、アイドル』でもこの衣装を着させていただいて、ほんまに好きやから、着れるたびに本当にうれしいと思っています」
松永「そんなふうに言ってくれて、本当にうれしい!個人的にも思い入れのある衣装です」
桜田「きっと、新人のうちから大阪を身にまとって、NMBであることを実感するんですね」
松永「実際、実感しましたか?」
桜田「しました!岡山県から出てきて最初に着させていただいた衣装が、大阪感満載だったのが新鮮でうれしかったです。地方出身なので、『大阪といえばたこ焼きよな~』とか『大阪城だ~』とか、そういう共感もありました」
前田「大阪に染まれるよな」
桜田「染まれますね。形から入れます!」
松永「そういうふうになってほしいなと思って作っています。『この衣装を着たら、なんでも許されるからやっちゃおうかな』って思えるような、そういうNMBらしい勢いを持てるようになってほしいなぁと」
前田「ほかのグループと一緒のコンサートのときに作られたからこそ、ほかのグループのメンバーやスタッフの方が見ても、『あ、この衣装はNMBだ』ってわかるんですよね!」
松永「実際にほかのチームのメンバーやスタッフさんもこの衣装を見にきてくださいました(笑)」
桜田「たしかに、じっくり見たくなりますよね」
松永「これを着たNMBのメンバーが『青春のラップタイム』で登場したときは舞台裏のモニターで見ていたんですけど、もうドキドキで。AKBさんのコンサートの中にこの衣装で出てきて、ご迷惑をかけることになったらどうしようって内心すごく不安だったけど、ここは大阪らしくド派手に!そして、ド派手な中にも制服要素は入れつつ気品のある衣装を!と思って作りました」
桜田「個性があふれていて、すごく素敵な衣装だと思います。NMBに入ったからには一度は着てみたい、着てほしい衣装ですね」
松永「きっと9期生もいずれ着ることになるね!」
桜田「絶対に似合いますね!元気でパワフルな子がいっぱいいるので、レインボーで元気なイメージのあるこの衣装がぴったりだと思います」
洋服大好きあやぴょんが作ってみたい衣装とは?
本連載初の後輩ゲストとなったあやぴょんは、もともと洋服が大好きだそう。
桜田「自分で服を作ったりもしていました。中野美来さんが成人式の振袖を着たときには、合わせるベレー帽の装飾をさせていただいたり。お洋服が好きなので、それを生かすことができてうれしかったし、衣装の裏話も好きなのでこの連載も読ませていただいています。松永さんともけっこうお話しますね」
松永「そう、衣装のことで30分ぐらい話したりするんだよね。衣装の細かいところまでちゃんと見てくれていて、勉強してくれているんだなって思っています」
桜田「衣装製作のエピソードが好きなんです。この連載でお話されていた、『ヴァージニティー』のカフスが片手だけの理由とか…」
松永「そこまで読んでくれてるんだ〜!メンバーも読んでくれてるんだって思うと、うれしくて泣きそうになりますね…」
桜田「こだわりの込められた衣装の裏話を聞けるのもうれしいし、コンサートでもいろんな衣装を着させていただけるのはありがたいことだなって、記事を読んで感謝の気持ちがより強くなりました」
ここで話題は、ゲスト回恒例の“着てみたい衣装”の話に。
桜田「たくさんあるんですけど、1回着させていただいた衣装だと、『ここにだって天使はいる』公演のオープニングの『青い月が見てるから』のメイドさん衣装が大好きです。2022年のリバイバル公演に一部出演させていただいたときにオープニングを担当して、その衣装を着させていただいたのがすごくうれしかったです。その回のために、特別にそれぞれの誕生日と名前が書かれたオリジナルのワッペンも作っていただいて!あれは本当に感動しました。あとは、『夢中人』の衣装も好きです。初めて見たのは加入前のオーディションを受けている最中でした。テレビで見て、『NMBに受かったらこんなかわいい衣装を着れるのか』って思っていたら、入って2カ月後の生写真撮影のときに着られて、うれしすぎて『脱ぎたくないです!』って衣装さんに言っていました(笑)。『らしくない』の衣装も大好きです。アイドルっぽい王道かわいい系衣装も、制服衣装も全部好き。『絶滅黒髪少女』の衣装はれいこさんも好きっておっしゃっていたんですけど、私もなんです!NMBの和の雰囲気と黒髪の清楚感が合って、かっこよく決まっている衣装。私は着たことないんですけど、着ているメンバーさんが全員小柄で、衣装がちっちゃいんだろうなって思っています…」
松永「えっ、全然着れると思うよ!」
桜田「ほんとですか?NMBに入ってから、本当にいろんな自分になれるので、素敵なグループだなって思いました。そう思えるのは、衣装の力もすごく大きいです」
松永「そんなふうに言ってもらえてうれしいですね…!」
さらに、今後の全体衣装の話に。
桜田「最近の全体衣装は、マットな素材が多いじゃないですか。白×青ライン衣装や赤白ドット衣装、4色衣装もそうですよね。だから、ラメが入ったようなキラキラした衣装が着てみたいです。アイドルじゃないと、なかなかキラキラを身にまとうことがないので。あとは皆さん言われてますが、ふわふわのスカートも履きたいです。『なめくじハート』みたいな、脚が長く見えるギリギリの丈の!」
松永「お、なめくじぐらいの丈いっちゃう?『好きだ虫』とかも丈が短いけど、やっぱり今のメンバーだからこそ、っていう判断でいつも作っています!」
初期のNMB48を彩った「大阪レインボー」の裏話をたっぷり聞けた今回。全体衣装の希望については、これまでのゲストの例に漏れず、あやぴょんからも“短いスカート”がリクエストされ、今後の衣装がますます楽しみに。
ちなみに撮影後には、衣装と一緒に写真を撮り合ったれいこちゃんとあやぴょん。画角やカメラの寄り具合まで確認しながら撮る姿は、まさに“衣装マニア”だった。
次回はかれんたんが案内人となり、曲名も歌詞もユニークなあの衣装を紹介する。お楽しみに!