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【NMB48 衣装図鑑 番外編】山本彩&木下百花衣装が『プライオリティー』の衣装と伝説の卒コン秘話を語る!「さや姉のコンサートはNMB48史上一番のものじゃないといけない」

今でも語り継がれる卒コン用の「プライオリティー」衣装
山本彩さんと木下百花さんといえば、2018年10月27日に大阪府にある万博記念公園・東の広場で開催された卒業コンサート「SAYAKA SONIC〜さやか、ささやか、さよなら、さやか〜」でデュエットした「プライオリティー」を思い浮かべる人が多いだろう。。

山本「この衣装は、NMB48に百花が存在していたから生まれたものだと思いますね」

木下「でも、私のソロ曲のMVができた当時から、あんな感じの衣装になるとは思っていませんでした。そもそも『プライオリティー』というソロ曲自体がなんの前触れもなく突然生まれたので、『怖すぎ!』と思っていましたし、さや姉の卒コンなど大事な局面でやるような大きな曲になるとも思っていませんでした。一緒にやったのは卒コンが最初で最後だったので、こうして衣装や映像などの形で残せたことはとてもうれしいです。今でも『あの映像、めっちゃ好きです』って言ってもらえるし」

山本「私も言われます」

木下「自分のソロ曲のMVより、『さや姉の卒コンの映像で見ました』と言われることのほうが多いので、それだけインパクトがあるものになったんだと思います」

『プライオリティー』の衣装は、歴代の衣装を手がけてきた松永さんにとっても苦労した衣装だったそう。

松永「苦労したと言いますか、実は先に卒業していたももちゃん(木下)がさやかちゃんの卒コンに参加するかが決まっていなかったんです。当時のさやかちゃんは本当に忙しかったので、自分で連絡する時間がなかったと思いますが、さやかちゃんのことだからももちゃんの気持ちを考えて連絡しなかったのかもしれないですけど…。それで、これは私がももちゃんを説得しないといけないのでは?という義務感に駆られて、必死に連絡を取り、ギリギリのスケジュールでいつもの焼肉屋さんに誘い出して説得したんです」

木下「よく覚えています。私はさや姉の卒コンに出たくなかったわけではなく、周囲の(なし崩し的な)『出ますよね?』という空気感がイヤやったんです。中途半端な気持ちでのオファーなら出たくないって」

松永「熱く語ってました。『さや姉のコンサートはNMB48史上一番のものじゃないといけないし、そうじゃないとやる意味はないから、そうじゃないなら私は出たくない』って」

木下「当時の私は、まだトガっていたので(苦笑)。みんながあきらめムードになっている中、ただひとりあきらめなかったのが麻里さんでした」

松永「それで、さやかちゃんの分刻みのスケジュールを横目でチェックしながら、ここなら電話がつながるだろうというタイミングを見計らって、ももちゃんから電話してもらったんです。2人ですごく繊細な会話をしているのが伝わってきました。そこで話がまとまってからは早くて、その翌朝には舞台演出の台本がももちゃんから上がってきたんです」

木下「百合劇場のね。演出は突発的に思い付きました。さや姉が百合劇場をするならと考えたら、自然と衝撃的な絵が浮かんだんです。絶対に盛り上がる王道の流れをいっきに詰め込んだものにしたくて、それを実現してもらいました。ただ台本がギリギリだったので、さや姉たちにすごく無理をさせた気がしてます…」

山本「そんなことないよ。やってもらえて、本当によかった!」

松永「私はその台本を読んだだけで雰囲気がつかめました。それからさやかちゃんに衣装の希望を聞くと『対照的なものがいい』と言われたので、ももちゃんはシルバーと白だから、さやかちゃんはゴールドと紫で黒っぽい衣装にして。さやかちゃんからアニメ『HUNTER×HUNTER』の幻影旅団団長(クロロ=ルシルフル)のイラストを渡されて、それも参考にしました。あとは生地もさやかちゃんに選んでもらって、そこからはトントン拍子。卒コンの衣装には本人の希望をたくさん取り入れたかったので、いろいろ聞きました」

山本「卒コン前の時期に、麻里さんがいろいろ聞きに来てくれたことを覚えています。普段はグループなので自分のためだけの衣装を作ってもらうことはあまりないから、うれしかったですし、いいものを作ってくれようとしていることがすごく伝わってきました。この衣装はどのぐらいででき上がったんですか?」

松永「デザインと生地を決めてから4日ぐらいだったかな?」

山本「えー、すごすぎる!」

木下「なんか、ごめんなさい!」

山本・松永「あははは(笑)」

山本「2人の衣装でリンクさせている部分は、どこですか?」

松永「首周りのファーと、コートをフィッシュテールにして、後ろ裾部分にもファーを装飾しているところ」

山本「そこで統一感を出しているんですね。『プライオリティー』は特に曲が持っているコンセプトが強いので、世界観を表してくれているこの衣装を着ることで、よりいっそう曲の世界に入ることができました」

松永「あのときは、ステージ下でさやかちゃんの早着替えのために待っていたんですけど、歓声がすごすぎて、いつ降りてくるかさえもわからないぐらいの盛り上がりでした」

木下「イヤモニの音が聞こえんくなったもん。ビリビリせんかった?」

山本「したした! あとから映像で見ても、すごいなって思いました」

NMB48を象徴するヒョウ柄の衣装を着ると自然と強くなれた
ほかに印象に残っている衣装について、聞いてみた。

木下「私は『カモネギックス』。紅白のほうの衣装。私、ネギを変な位置にされたんよ。百花はここでしょ?って(笑)。目立ちたがり屋だからうれしかったんだけどね。ダンスの練習を何時間もして、大変だったことも一緒に覚えてる」

松永「(うなずきながら)あのときの“カモネギ”のダンスのシンクロ率が高くて、鳥肌立ちました!」

山本「私はMVの『カモネギックス』の衣装も好きだったな。でも、どの衣装も印象に残ってますね。 『北川謙二』 とか」

木下「あれは驚いた。ヘンな物いっぱい付いてて、おもちゃ箱みたいで」

松永「NMBにしか着こなせないものを作りたかったですし、みんな着ると似合ってしまうんですよ(笑)」

山本「和装でヒョウ柄がバン!と出た 『HA!』 の衣装もNMB48らしかったな〜。あの衣装を着ると自然と気持ちが高ぶって、強い女になれるんですよ!」

木下「ヒョウ柄が入った衣装を着ると強くなれることは、確かにあったな。ギアが入るみたいな感覚」

山本「動きやすさや着替えやすさを重視してしまうとそれなりの衣装にしかならないですが、麻里さんに楽曲映えやステージ映えする衣装を作ってもらえたことでNMBらしさが生まれたと思うので、とてもありがたかったなと思っています」

松永「でも、そういう衣装を作りたいと思ったのは、この1期生に出会えたから。最初は不安でしたけど、装飾のタコ焼きを食べるふりをしながら自撮りしていて、さすが大阪の子たちだなと思って。それで衣装でも、みんなのおもしろさを引き出せたらと思うようになったんです」

山本「我々も次はどんなのが来るんやろ?とワクワクしたり…」

木下「けっこう毎回驚いてたな(笑)」

お話を伺っていると松永さんとお二人の間に強い絆を感じるが、何かきっかけがあるのだろうか。

松永「ももちゃんとは、スパンコールがたくさん装飾された衣装を着た、2014年紅白のときに仲良くなりました。あの衣装もタイトスケジュールで本番までの3日間はほぼ徹夜続きだったんだけど、当日楽屋などにたくさんスパンコールが落ちてしまったことで本番後に注意されてしまい、みなさんにご迷惑をおかけしてしまって。いろいろな感情が入り交じりながらひとり掃除していると、気がついたらスーッと涙が…。それをたまたま見ていたももちゃんが何も言わずに手伝ってくれたんです」

木下「だって、大人が泣いてんねんで?」

山本「そんなことがあったんですね…」

木下「だから…(掃除を手伝った)」

松永「それで、一瞬で好きになっちゃいました(笑)。さやかちゃんは、紅組と白組に分かれていたころ、MVの撮影日が必ず重なるので、両方の現場に行けなかったんです。私はいつも紅組の担当だったので、白組のさやかちゃんにしてあげられなかったと思うことが多すぎて…」

木下「それ、焼肉屋さんでも言ってた!『だから卒コンでは、今までできなかった分いろいろやってあげたいの!』って」

松永「最後こそは、なにか役に立ちたいと思っていたんです!」

山本「もう、母やん!(笑)」

そんな松永さんが今、お二人に着てほしいと思う衣装とは何なのだろう。

松永「『プライオリティー』ですね」

木下「私はこれが一番盛れんねん!」

山本「確かにあのときの百花はホスト感だけでなく、王子様感もあった」

木下「私はそんなに背が大きくないから全身を包むタイプの衣装を着るとモサッとして見えることが多いんですけど、この衣装はめちゃめちゃスッキリ見えるから、映像見ながら『かっこいいな〜!』って(笑)」

山本「自画自賛!(笑)。私はあのとき、黒髪のロングヘアだったことをちょっと後悔してるんだよねー」

木下「なんか、ライブ後に悔しがってなかった?『ショートならもっとイケてた』みたいに」

山本「本当!?ばりウザいな(笑)」

最後にお二人にとって衣装とは?

木下「王道な表現になりますけど、やっぱり“戦闘服”かな」

山本「そうだね」

木下「衣装があるから華やかなステージにふさわしくなれる。普通の服ではあの雰囲気は出せないので」

山本「私は本来の自分らしさとは違う雰囲気――たとえば、自分はかっこいいと言われるほうが多いんですけど、かわいらしい曲や上品な曲をやるときに衣装をまとうと、曲調に合った自分になれる。衣装に助けられるんです。この衣装なら、ちょっとぶりっ子しても許されるかな?とか(笑)」

木下「それこそ、『プライオリティー』もこれ着ないと…ね?」

山本「確かに恥ずかしいね(笑)。でもさ、普段から衣装を着ると無意識に気持ちが切り替わるよね?スカートだと自然と足をそろえて座るし、パンツスタイルだと無意識に足を広げて膝に肘を突いてる(笑)」

木下「それ、あるやんな」

山本「自然とそうなるので、衣装の力ってスゴイなって思います」

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